NPO法人 旧五十嵐邸を考える会
理事長
片瀬 信江さん
蒲原宿の歴史と文化を紡ぎ、継承していく活動をお手伝いしていきたいです。
どんなお仕事をされていますか?
外観は洋風で内部は和室という珍しい建て方の旧五十嵐歯科医院(旧五十嵐邸)は、2000年に国の登録有形文化財に登録されました。私たちはこの建物の管理と活用をNPO法人として行っています。
会設立当初は会員12名からスタートしましたが、今では26名の仲間となりました。
私は1991年に初めてこの建物と出会い、この昔ながらの建物をなんとか保存したいと仲間たちと活動を続けてきました。いろいろなことがありましたが、2000年に耐震補強をメインにした工事が行われ、みごとに旧五十嵐邸はよみがえりました。思い続けて行動していけば夢は叶う、ということを実感しました。
大正から昭和30年代ころまでの暮らしの形がよく残っているこの建物を活用し、時間がゆったりと流れ、今ではなかなか体験できない季節感あふれる昔の暮らしの楽しさを子ども達に実際に見て、体験してもらっています。
そして、旧東海道の宿場町であった地元の歴史を知ってもらえればと思い、様々なイベントを企画しています。なかでも夏休みに開催している「蒲原宿子ども案内人養成講座」は、子ども達にこの地域のことを学んでもらい、宿場を訪れる方たちに伝えるための案内人の育成を目指しています。うれしいことに地元の小学校も協力してくださっています。西小学校では「ツバメのまち蒲原」~小さいまちの小さな魅力~と銘打って、子ども達がこの地域の「いいとこ探し」をしてPRするという事業を継続して行っています。昨年は、授業の一環で、子ども達が観光ツアーのガイドをして大好評でした。
他にもかまどでご飯を炊いたり、餅つきをしたり、お雛様や五月人形を飾ったり、夏のしつらいをしてみたり、日本の昔のくらしや文化を伝える活動をしています。七草がゆや七夕などの季節の行事を旧暦で実施してみると、田んぼで七草が摘めたり、梅雨が明けた夜空に天の川を見ることができたりします。当時の暮らしそのものを感じてもらうことで昔ながらの大切な文化の継承につながれば嬉しいですね。
トライアルパーク蒲原に期待することって何ですか?
トライアルパーク蒲原にたくさんの方が訪れるようになって、そのなかには蒲原は初めて!という方も大勢いらっしゃるかと思います。そういう方たちに、来ていただいても、
きっと喜んでいただける、楽しんでいただける「魅力」がこの地域にはあると思います。
私たちも、その「魅力」を多くの方に伝えることができる、たくさんの「ひきだし」を持ちたいと思って、旧五十嵐邸だけではなく、もっとこの地域全体の歴史、文化を学び、ご案内できるようにしていきたいと考えています。先日も蒲原宿を歩く勉強会を実施しました。
蒲原が持つ素晴らしい素材を上手く繋いで、新しい体験メニューも作っていければと思います。
最近は、宿内にも空家も目立ってきていますので、空家の有効活用も含め、これから変わっていく蒲原に少しでも貢献できるよう、私たちも活動を続けていきたいと思います。